変数の定義
粉、液体かん水、水分を含む材料、完成重量など、含めるものと除くものを先に書きます。
計算ツールは、答えそのものを決めるものではなく、仮説を明確にするための道具です。変数の定義、単位、分母、前提、測定誤差を確認し、計算結果から、条件をそろえた比較実験へ進みます。
計算の前に
「塩分1%」という表現だけでは比較できません。表示食塩相当量、計算上の質量分率、機器指示値、知覚される塩味のどれを指すかと、分母を明記します。
粉、液体かん水、水分を含む材料、完成重量など、含めるものと除くものを先に書きます。
g、kg、%、質量分率を混ぜません。ラベル値が100 g当たりか一食当たりかも確認します。
容器の風袋、採取位置、試料温度、計器の校正をそろえ、計算値と実測値を区別します。
油相、水相、固形分、蒸発、差し水、測定原理が、結果の解釈にどのような限界を与えるかを書きます。
計算式
式の記号と分母を、自分の言葉で説明できることが、正しく使うための条件です。
成分率(%) = 成分重量 ÷ 粉重量 × 100粉を常に100とする処方表現です。液体かん水では、製剤重量と製剤に含まれる水分・有効アルカリを分けます。
計算上の食塩相当量 = Σ(構成要素の重量 × 食塩相当量質量分率)栄養成分表示の食塩相当量(g/100 g)または原料表示から計算した質量分率を使います。機器指示値を食塩質量へ直接換算しません。総重量に対する比率と、油を除く液体部分に対する比率も別の値です。
完成量 = 仕込み量 × 歩留まり率必要な完成量から逆算する場合は、完成量を歩留まり率で割ります。歩留まり率には、過去に同じ条件で測った値を使います。
歩留まり(%) = 完成重量 ÷ 仕込み重量 × 100容器重量を差し引き、差し水・ろ過・取り分け・温度を、同じ仕込みの記録に残します。
混合硬度 = Σ(水量 × 硬度) ÷ 総水量単純な加重平均です。硬度以外のイオン、pH、アルカリ度、残留塩素や、安全性はこの式では求められません。
収支上説明できない減少量 = 開始液 + 差し水 − 採取 − 現在液素材が吸収・保持した液、ろ材に残った液、こぼれた液を別々に量らなければ、収支上説明できない減少量をすべて蒸発によるものとはみなせません。
目標重量 = 現在の食塩相当量 ÷ 目標質量分率表示値または原料表示から計算した食塩相当量を使い、水だけを加える、または水分だけを蒸発させると仮定した理論値です。実際の加熱では香りや固形分も変化し、安全管理上の工程も関わります。
粉重量を100として、入力した水・塩・かん水製剤の比率を計算します。液体かん水は、製剤に含まれる水分も加水量に含めます。卵や調味液など、ここに入力していない液体原料は計算に含まれません。アルカリ濃度と製品規格は別に記録してください。
表示値または原料表示から計算した値を使い、各構成要素の食塩相当量を質量収支で概算します。機器指示値は測定方式、校正、試料温度、油・固形分の影響を受けるため、食塩質量へ直接換算しません。「計算上の食塩相当量」と「知覚される塩味」も別の量です。
必要な完成量と想定歩留まりから、仕込み開始時の目安を逆算します。鍋を大型化する場合は、火力・表面積・抽出時間を改めて検証してください。
容器重量を差し引いた仕込み開始重量と完成重量から、実際の歩留まりを計算します。差し水・追加素材・ろ過・採取時の温度を、同じ記録に残してください。
硬度が分かっている2種類の水を、溶質量の収支に基づく体積加重平均で混ぜる概算です。温度による密度差と混合時の体積変化は無視しています。硬度が同じでもイオン組成、pH、アルカリ度、残留塩素は一致しません。混合後の実測と小試験が必要です。
開始時の液量、途中で加えた水、採取した試料、現在の液重量から、収支上説明できない重量減少と、目標の完成重量までに必要な補正量を求めます。素材が吸収した液、ろ材に残った液、こぼれた液が含まれる場合、計算結果は純粋な蒸発量ではありません。
表示値または原料表示から計算した食塩相当量を使い、その量が変わらないという仮定で目標重量を求めます。機器指示値からは食塩質量を直接算出しません。油、固形分、測定器の方式・校正・試料温度、追加素材、反応による変化は含みません。
均一な液を取り除くだけでは、食塩も同じ割合で失われるため濃度は上がりません。加熱濃縮では、香り、固形分、加熱履歴、安全管理の条件が変わるため、計算値だけで工程を決めないでください。
計算例
スープは原料表示から計算した食塩相当量質量分率0.15%、タレは表示食塩相当量16 g/100 gを使うとします。スープ300 gとタレ32 gの計算上の食塩相当量は0.45 g+5.12 g=5.57 gです。香味油8 gを含む総重量340 gを分母にすると約1.64%、油を除く332 gを分母にすると約1.68%です。
この数値だけで「塩辛い」とは結論できません。提供温度、酸味、うま味、脂、粘度、麺が持ち込む水分、評価者の塩味への慣れや個人差が、感じ方に影響するためです。
タレ量だけを30 g・32 g・34 gに変え、スープ・油・温度・麺・提供時間を固定します。計算上の食塩相当量質量分率、方式・校正・試料温度を添えた機器指示値、知覚される塩味の強度、好ましさを別々に記録します。
実習記録
入力値と単位、原料ラベルまたは実測の根拠、計算式、丸め前の値を記録します。さらに、使用した計器、採取位置、温度、官能評価の結果、結果の限界、次に変える一つの条件も残してください。